伊藤 計劃の「ハーモニー」

凄かった。
この年になって、こんなに自分の心を根本的に揺さぶる小説にであうなんて
思ってなかったくらい。

ただ確かなのは
主人公の女の子たちが感じていたようなものを
わたしにはどうしようもなく理解できる

例えば真綿でゆっくり首を絞めるように
残酷に横たわる平穏な日常

永遠に歯車の合わない感情と
どこにいても落ち着かない所在なさ

善意に満ち溢れたファシズム
死への欲望、痛みへの欲求

それで自分の体と心が悲鳴をあげてはじめて、
生きているって感じることを。

「さよなら、わたし
さよなら、たましい
もう二度と、会うことはないでしょう」

このフレーズで、何度も泣きそうになる。
あのころはきっとどこか狂ってた。

たぶん、今後の人生で
何回もこれを読むんだろうな。

自分の魂を確かめるために。