なかなか寝付けなかった夜に

LINEマンガで衝動買いして読みましたw

フィンセント・ヴァン・ゴッホと、弟のテオドルスのお話。

solu

作者の穂積さんってひとは、少し前に「式の前日」っていう短編集で話題になってた。

私も読んだんだけど、正直「好き!」とは言えなくて。

いや、よかったんだけど。あきらかに泣かせようとしてるのかなとか
そんな風に思ってしまう自分がきっとひねくれているのですが(゚д゚)、ペッ

ゴッホがテーマだと知らなかったら、きっと読まなかった。

むかしから絵を見るのは好きで、

ダリやキリコの絵から感じられるダークファンタジーとか

ダヴィッドの絵から想像できる壮大な歴史とか

モネやセザンヌの絵が発する、交錯する色彩と光だとか

ムンクの絵から漂う、闇とデカダンスだとか。

そういうものに魅せられて、すごくかっこいい!と思ってた。

フラスコで描かれた宗教画の怜悧な、イコンの美しさから

その後ルネサンスでその宗教観が多様化したときに描き出された、なんともいえない色気だとか

そういう絵画の背景にある文化に心を囚われたりもしたけど。


でも。ゴッホの絵の強烈さは、そのどれとも比較しがたいなと感じる。

唐突に咲き乱れる鮮やかな色彩と、うねり。

特に晩年の絵の凄まじさは、理不尽な暴力のようだとすら思う。


その強烈に、時に悪夢のように波打つ色と曲線に、鑑賞者が
ゴッホ自身の波乱万丈な生き方を重ね合わせているかと言えば

きっと、そうだと思う。

逆に、そうでもしなければ、あの理不尽さを説明できないような気もするんだけど。


でも、もし、そうでなかったとしたら。

自身の人生で何かしらでゆがんでしまったエネルギーをぶつけた場所があの色彩なのでは、なかったとしたら。

それは、きっとものすごく美しいことなのかもしれない。


「さよならソルシエ」を読んで、そんな空想ができた。

好き嫌いは分かれそうだし、
(ロートレック等実在の人物が巻き込まれてるあたりとか)

時代考証が云々とかいいはじめるときりがないだろうけど

そういう視点を加えてみようとすることは意欲的なんだと思うし

個人的には、おもしろいと感じました。

ちなみにゴッホで好きな絵は(ものすごくたくさんあるけど)
70019
夜のカフェ


640px-L'église_d'Auvers-sur-Oise
亡くなる直前に描かれた、オーヴェルの教会


TKY201010050177
サン・レミ療養院の庭。ゴッホ展観に行ったときは、この絵の前で固まってしまった。


こんなの、常人が描けるとはやっぱり、思えないんだ。